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・「ファミ通」という名前はどんな形になっても残していきたい

 現在、ファミ通は電子版を展開しているほか、『ファミ通チャンネル』という月額会員制サービスで生放送番組をやっていたり、Twitterで情報発信をしているのですが、今の時代にここを外して紙だけでやるのはナンセンスだと思っています。正直な話、以前よりも紙版の部数が減っていることは確かなので。

 ただし、『週刊ファミ通』は情報の起点になっていて、これがあるから他のメディア展開が広がっていっていると思うんです。雑誌だけにこだわる必要はないんですけれど、webサイトだけになってしまうと今みたいなパワーを持って広がらないと思うので、大事にしていきたいですね。

 そもそも、ファミ通がそういったメディア展開をやるようになったのは、PlayStation4の発売日にシェア機能を使って、編集部からゲームの実況配信をしたことがきっかけです。今までは読者との関係性が一方通行だったものが、そういったツールを使うことで読者からの反応がダイレクトに届くようになりました。

 ですから、読者はどんなことに喜んでいるのか、どこにニーズがあるのかが明確に分かるようになって、「自分たちでも動画で番組やったほうが面白いよね」とか、それなら「担当が必要だよね」とか、動画と連動したイベントを企画してみようなどといったように、ファミ通の仕事の幅がとても広がったと思います。

 読者とコミュニケーションが取れたことはとても大きな経験になったと思いましたし、これからも動画を中心としたメディア展開をもっと意欲的に取り組みたいなと思っています。

 とはいえ、YouTubeやニコニコ動画で活躍しているゲーム実況者の人たちや、個人でサイトを運営している人たちというのは、今すごいパワーを持って活動されているんですよ。数万、数十万単位でそういう人たちを支持されているファンがいて、そのパワーはメーカーもプロモーションになると捉えてます。個人でできるメディアだからこそあまり制約がなくて、自由に情報を発信しているんですね。そういった第一線で活躍している実況者の方たちをファミ通が持つことができなかったというのは、出遅れてしまったことだと反省しています。

 しかし、個人ではできなくて、私たちのようなメディアだからこそできることもありますから、そこを意識して展開するようにしています。たとえば、クリエーターの方と一緒に番組を制作したり、メーカーとコラボレーションでイベントを企画することなどです。

 そういった棲み分けをして、違うことができるようにして、負けないようにしたいと思っています。

 このように多岐にわたるような展開をして、『週刊ファミ通』だけでなく、『ファミ通.com』や『ファミ通チャンネル』といったいろいろなファミ通の形を示していくことで、「やっぱりゲームといえばファミ通だよね。」と言われるようにしたい、と強く思っています。だからこそ、どんな形になったとしてもファミ通という名前を未来に残したいですね。

・編集者はプロデューサーにならないとダメだと思っています。

 実は、雑誌の編集者の仕事は編集だけではないんです。ここ何年かの業界の動向を見ていて、明確にわかってきたことなんですが、たとえば、週刊ファミ通でいうと、紙の記事だけでなくwebの記事を作ることもありますし、イベントやグッズ、番組の企画や番組のディレクター、プロデューサー、出演などと、かなり仕事の内容が多岐にわたってきています。

 そういったことから、私はこれからの編集者はプロデューサーにならないとダメだと思っています。これはどういうことかというと、まだ紙媒体の市場に活気があったころは、編集者は雑誌を主戦場にして仕事ができていました。

 ですが、現在は雑誌がたくさん売れる時代ではなくなって、さらにインターネットという要素が入り、動画配信サービスが生まれて、ゲーム雑誌はゲームの魅力を伝える数ある媒体のひとつというポジションになりました。

 これからの編集者は様々な媒体を使い分ける必要性がありますし、上手に使い分けるためには、それぞれに対応したスキルを持っていたり、もしくは様々なスキルをもった人間を集めて、指揮していくことです。つまり仕事を統括して管理するプロデューサー的視点が必要になってきます。

 このことについては、先ほどお話ししたPlayStation4でゲームの実況配信を初めてしたときから意識をし始めました。

 実はそこからファミ通チャンネルにつながっています。自分たちでもこういった動画のメディアを使っていこうと思ったときに、だったら担当をつけて、しっかりした企画も立てて、それで月額会員制のサービスにするんだったら、プレゼントを用意しようとか、イベントもやろうとか、私たちも様々なことが考えられるようになりました。

 これからもファミ通ならではの面白い仕掛けをしようと今がんばっているところです。